Home / コラム「所沢の足跡」 / 所沢図書館本館の建設

暮らしの中に図書館を・・・ 所沢図書館本館の建設

1980年(昭和55年)5月、所沢航空記念公園内に新しい市立図書館が誕生しました。【「埼玉一」の市立図書館】と新聞でも報じられた所沢市立所沢図書館(本館)はどのような経緯で建てられたのでしょうか。

1948年(昭和23年)に所沢青年団により「所沢図書室」が創設されました。図書室は1964年(昭和39年)市に移管され所沢市立所沢図書館として開館しました。

 1970年(昭和45年)に所沢市文化会館内に移転。同じころ、市内では米軍基地返還運動が高まりを見せていました。また、そのことにからめて埼玉県で3番目の県立図書館誘致について県に要望していました。しかし、県立図書館は川越市に建設されることになり、所沢市は独自に県立図書館と同じような規模の市立中央図書館を建設するために動き始めます。

1976年(昭和51年)4月、市は「所沢市図書館建設委員会条例」を制定。予算に図書館の設計委託料を計上し、調査研究を本格的に開始しました。建設予定地は、米軍基地跡に建設中の県営所沢航空記念公園内に決定しました。

1977年10月の「図書館建設委員会の市長諮問に対する答申」には市民の図書館に対する期待が込められています。

  • 市民の学習要求に十分応えられる図書館
  • 所沢市の将来性と地域性に根ざした図書館
  • 市民が多様な学習ができる資料と施設を備える。施設の構成は次のとおり
    開架室(一般室) 児童室 和室 対面朗読室 学習室 集会室 新聞雑誌コーナー レファレンスコーナー 視聴覚室 移動図書館センター 書庫 事務室 郷土民俗資料室 篤志文庫
  • 親しみやすく入りやすい構造とする
  • 歳月を経るほど美しくなる図書館とする
  • 乳幼児を持つ母親や身体障害者、老人が利用できるよう配慮する
  • 特別な室を除き、可能な限りワンフロア・システムとし、弾力的活用ができるようにすること
  • トイレ・エレベーター・階段等は身体障害者の利用について特に配慮すること(抜粋)

所沢図書館本館


さまざまな事情でかなわなかった部分もありますが、バリアフリーを念頭に置いた、当時としては画期的な図書館であることは間違いありません。また、現在ではどこの図書館にもある視聴覚室やレファレンスコーナーが盛り込まれているのも注目すべき点です。その後の検討で、コンピュータシステムの導入も決まりました。 1979年(昭和54年)1月に着工。ここから約1年の歳月を経て所沢市立所沢図書館は完成しました。(F)


参考文献

  • 『所沢市立所沢図書館要覧 2006』 所沢市立所沢図書館《016.2ト06》
  • 『所沢図書館の建設(経過の概要)』 所沢市立所沢図書館《K016.2ト》
  • 『所沢市立図書館関係記事資料』 所沢市立所沢図書館《K016ト》
  • 「日刊新民報」 1980年3月2日号

「所沢の足跡」地図

所沢図書館(本館)
「所沢の足跡」地図上の〇 所沢市立所沢図書館(本館)